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トレーニングコーチ、トレーナー必見!指導現場について考える

つい先日、ツィッターで、下記の朝日新聞の記事がシェアされていました。記事自体は、2019年1月掲載のもの。1年以上前の記事でしたが、日大ラグビー部元コーチによる暴行行為などが、つい最近報道されるなどもあり、僕自身もトレーニングコーチとして、仕事を行っている以上、今一度、トレーニング指導をする際に留意すべきことと考え、備忘録として、整理したいと思います。

記事はこちら

目次

怒りの感情をどう制御するのか?

記事内で、体操競技の速水コーチの言葉から、”怒り”の感情をどう制御すべきか?が、非常に重要な要素であると感じます。

僕自身も、イライラしやすいタイプです。3人の子供を子育て中ですが、自分の思い通りにならないときに、「なんで、できないんだ!」と思い、感情のままに怒りをぶつけてしまうことが多々あります。

指導現場においても、この子育ての場面と同じようなことが生じてしまっていると思います。

相手のことを考え、相手の実力であれば、「このくらいのことはできるはずなのに、なぜ、できない」、アスリートであれば、目標とする場所があり、そこと比較して、「なんで、これができない!」という危機感に苛まれたり、、、といったことが一つの原因であると思います。

こういったことはなぜ、起きるのでしょうか?

これは、僕が思うに、「相手に、自分と同じ価値観を押し付けていること」が原因なのだと思います。

子育てでもそうですが、「どうしてできないのか?」というところにフォーカスしてしまうのではなく、「どうすればできるのだろう?」と思うことができれば、きっと怒りの感情も軽減し、指導する際のアプローチの仕方も変わってくるのではないかと思います。

目の前の相手を良くしたいと思うから体罰に繋がるのか

相手を想う気持ちから、「目の前の相手を良くしたい」という気持ちは、指導をする人たちに取っては少なからず存在する感情であると思います。

そのため、自分の気持ちとは裏腹に、相手が思うような行動に移らなかったり、思うような結果が伴わなかったときに、感情が乱れてしまい、コントロールを失い、結果として、「体罰」という行動をとってしまうのかもしれません。

おそらく、こんな短絡的な流れではなく、もっと複雑な要因が重なってくることで生じていると思います。しかしながら、一つのプロセスとして、上記のようなことが生じ、結果として、感情のコントロールがきかなくなることによって生じてしまうのではないかと考えています。

記事の中で、「現在では、間違っているとされる指導が望ましいと思われた時代に育ち・・・」との記載があります。これは大いに関係していると、僕は考えます。やはり自分の経験則で、それが良い、自分のためになったと考える指導者の場合、同じことを行う確率高くなると思います。

これは、指導の現場だけでなく、我々が生活している多くの場面で自分の経験に則り、判断をしていること、決断をしていることが多いということからも明確でしょう。

つまり、人は、経験をもとに判断、決断してしまうことがあるという事実を受け止めるとともに、それが現状にそぐわないときにどういった判断、決断を下すのか?ということを考える必要があると言えます。

そのため、記事にもあるように、指導者は、「知る」「学ぶ」ということを、続けなければならないと思います。誤解を恐れずに伝えると、記事内の速水コーチは、上記の「知る」「学ぶ」ということの重要性を理解されていると思いますが、まだ、その姿勢は受け身であり、自分からの能動的に動いて、「知る」「学ぶ」という機会を得ていこうという姿勢にはなっていないように感じます。

というのも、「指導者が学べる機会を増やしてほしい」と考える必要はなく、「知る」「学ぶ」機会は、現場にもたくさん落ちているし、現状多くの人たちが問題意識を持ち、様々な共有の場を創出しているという事実を、自らの足で探し出し、切り開いていく必要があると思います。

指導者向けセミナーなどと謳っているものだけが、指導者に必要なことではありません。スポーツや学校教育の現場の人たちからだけ学ぼうとするのではなく、社会全体を広く見渡し、多くの組織におけるリーダーたちの考えから、学ぶ機会を得ていくことで、きっと知見や見識は広がり、自身の指導、コーチングにも大きな影響を与えていくれるはずだと僕は考えています。

「想像力を働かせる」ということの重要性

記事内で、甲子園優勝監督でもある、花咲徳栄高校 岩井監督が、「自分の考えを1回、ぶっ壊してみることが大事」と仰っています。

これは、上記したように、岩井監督自身が、「知る」「学ぶ」という機会の中で、変化するということを受け入れ、それを望んだ結果だと思います。長年、指導現場に携わり、自分の経験や自分の考えがある程度、明確になってきていたであろう時期に、こうした判断、決断をなぜ行うことができたのか?

それは、帝京大学ラグビー部の岩出監督との出会いによるものと記事は伝えています。競技の枠を越え、いろんな考え方、伝え方を知り、そして学ぶことで、岩井監督自身の知見や見識が広がった結果、「変化」することを選び、そして、自身の指導方法をも変えるきっかけになったと、理解することができます。

まさに、このことこそが、今、多くの指導現場において、まず必要な姿勢であると感じます。「変わり続けること、それを受け入れること。」それこそが、相手のことを第一に考えた指導へと変化させていけるのではないかと思います。

さて、そういった姿勢で、指導現場に立つ岩井監督。時代の変化とともに、価値観が指導者側と指導を受ける側の差が生じてきている中、これまでと同じような指導法ではうまくいかないことを悟り、理論武装をするという決断をされました。

僕自身も、学生のトレーニング指導をする機会が多いですが、岩井監督が仰るように、10年前と今では、子どもたちの受け取り方も大きく変わってきました。そのため、「これは、こういう意図があるから」とか、「(野球の)この動きに繋げていくために、この動作を鍛えていこう」といったような伝えた方に変わってきました。

相手が、子どもであろうが、プロアスリートであろうが、相手に、「興味を持ってもらうこと」は非常に重要であると思います。それは、トレーニングのことだけでなく、トレーニング指導を行う自分自身に対しても、です。興味を持ってもらうには?という視点で考えていけば、指導者側も、これまでのようなやり方では到底難しいでしょう。

なぜならば、今の子どもたち、アスリートは、youtubeやソーシャルメディアといったものを駆使し、世界中のあらゆる情報を手に入れています。そういった中で、指導者が経験に頼りすぎて指導をしてしまうと、「えっ?なんで?」ということになります。そのときに、その質問に対して、理路整然と返答できるようであれば、問題ないですが、そこに対して、曖昧、あやふやな返答をしてしまえば、一気に、彼らの興味は失われるでしょう。

だからこそ、知らないことは、知らない。と返答し、ちょっと自分で調べてみる、もしくは、試しにやってみよう、など、相手の意見を許容する姿勢も非常に必要だと思います。

また、記事内にあるように、子どもたちは経験不足な分、想像力が足りないところはあるかもしれません。しかし、実は、子どもたちからすれば、大人も、想像力の足りないところは多々あるはずです。大人が知っていることを、子供が知らないということと同じように、子どもたちにとっての当たり前を大人が知らないことも多々あるということを理解しておく必要があると思います。

つまり、子どもとか、大人とか関係なく、相手に対して、想像力を働かせるような指導の仕方は非常に重要になると思います。相手の想像力の範囲を想定し、自分の意見を伝える、それこそが、ミスコミュニケーションを軽減させ、結果として、相手に我事として捉えてもらうための有効な手段だと思います。

このことを意識して伝えないと、相手は知らないことに対しては、拒絶してしまうでしょう。相手に納得してもらうために、どういった準備をするのか?これこそが、相手の感情を揺さぶることのできる大きなヒントになるはずだと僕は考えています。

自分の姿勢や態度を見られているという自覚

上記したような想像力を働かせることに加えて、僕が非常に重要だと感じていることが、指導者側の姿勢や態度であると思います。

例えば、僕がこれまで遭遇したスポーツの現場では、監督が椅子に座ったまま、子どもの顔を見ずに、ひたすらに怒鳴り散らすこと場面。このときに、子どもたちは、この監督から何を学ぶことができるでしょうか?言われていること、注意を受けていることに真摯に向き合うことはできるでしょうか?

僕であれば、NOです。大人社会においても、上司から上記のような形で、注意を受けて気持ちよく聞き入れる社会人はどのくらいいるでしょうか?これも想像できますよね。

そうなんです。ここが非常に重要なのですが、スポーツ現場や学校現場ではおそらくこういったことが、今もなお続いているかもしれません。それでは、相手はその指導者の言葉に耳を傾けることはできないでしょう。

なぜなら、相手は、その人の姿勢や態度を評価しているからです。これは人間だから当然です。このことを理解できれば、きっと上記したように、相手は、自分に対して、興味を持ち始めてくれたり、自分の伝える指示などについても納得してくれるようになるでしょう。この大きな間違いを絶対に犯してはいけないと僕は思います。

もはや、年齢的には自分よりも年下で若いかもしれないですが、大人と子どもという上下の関係でなく、お互いに知らないことを補完し合うような関係が必要になるのだと思います。そういった姿勢や態度で、お互いにリスペクトし合いながら関係を築いていくことできっと子どもたち自身も大きな成長を果たしていくれるように思います。

やらされることに魅力は感じない

会社に勤めていて、この仕事やっておいて!とか、今月の売り上げノルマ××となって、やる気になって働ける人はどのくらいいるでしょうか?

社畜という言葉があることからも分かるように、やらされる仕事に多くの人は疲弊し、魅力を感じなくなっているのです。

しかしながら、子どもたちの社会においては、大人はこうしたことを平気で犯してしまいます。自分たちが魅力がなくなるということに気づいているにも関わらず。

このことを認識しなければ、子どもにも同じことを行ってしまいます。そして、その子どもたちも同じことを次の世代にしてしまうかもしれません。

だからこそ、指導者が考えを変え、「自分がワクワクすること」をまずやってみるの必要があるのです。大人だからできない!ではなく、自分が楽しいと思うことを率先してやってみる。大人がまず楽しんでいる姿勢、態度を示すことができれば、きっと子どもたちもその姿に影響を受けるはずです。

大人の役割は、指導者の役割は、そういったワクワク、キラキラした姿を見せる!ということにあるのだと思います。

世間は厳しい、そんなじゃ食べていけないぞ!と苦しいことばかりを伝えるのではなく、僕はこういう考えで生きているから、すごく毎日が楽しい、かつ、ちゃんと生きているけぞ!という姿を見せていくべきだと思います。

苦労の押し売りほど、苦痛なものはありません。結果的に苦労するかもしれないですが、それを本人が望んでやれば、その苦労は苦労ではなくなるはずです。そういったことをきちんと伝えていくことが、大人の、指導者の使命であるように思います。

結果を焦らず、待つことも必要

焦りは禁物・・・という言葉があります。僕も、焦ることは大いにあります。その焦りの正体は何か?を考えたことはありますか?

僕は、独立してすぐですが、少し前に焦りを感じました。自分が想定したよりもお客さんがこない、仕事の進捗スピードが遅い、といったことでした。そのため、それらを細かく分析していくと、一つのことがわかりました。

それは、「自分でコントロールできないことは悩まない」ということです。これは子育てにおいて、妻からも言われたことです。子どもが泣くのは、どうしようもない。泣く理由を排除してそれでも泣くのは、もう仕方のないこと・・・。これと同じ理論です。

仕事においても、指導場面においても、自分でコントロールできないことを悩んでも仕方がないです。逆に言えば、自分でコントロールできることだけにフォーカスして、やるべきことをやり続ければ、結果に繋がる可能性は高まるはずです。

監督が試合で使うのも、使わないのも、極論を言えば、どうしようもできないことです。監督の好み、戦術的な采配など、いろんな要因があるため、そういったことを悩んでもどうしようもないのです。

しかし、試合に向けて、自分がやるべき準備はできます。身体をしっかりと鍛えたり、休んだり、戦術理解度を高めたり、、、、。自分に矢印を向けることで、やるべきことを明確になり、結果として、コントロールできることだけに集中でき、心配事や悩み事が軽減するのではないかと思います。

自分がやるべきことをきちんとやり切ること。これが、指導する側にとっても、指導される側にとっても重要なことのなのだと思います。

人事を尽くして、天命を待つ

まさに、その言葉の通り、自分がやるべきこと、コントロールできることだけをやり尽くし、あとはなるように成ると、腹を括ることが重要なことかなと思います。これこそが、記事内の「余裕を持つ」ということに繋がるのではないかと思います。

まとめ

ここまで朝日新聞のネット記事を閲覧し、自分が感じたことを書き綴ってきました。気づけば、5600字を超えており、最後まで読んで下さった方には心からお礼申し上げます。

この記事に関しての所感をまとめていきましたが、実は、この記事にあるような指導者の支援を目的に、情報収集、情報共有の場が必要ということは、現場の声として上がっており、数年前から、前職の株式会社ドームが発起し、ある団体を立ち上げています。

ジャパンコーチンズアソシエーション

自分には関係ないと思わず、より良い考え方ができるようになること、そして、より良い生き方ができるようになることで、きっと今よりももっと魅力的な指導者になることができると思います。

教師、スキルコーチ、トレーニングコーチ、トレーナー、など、人にモノを伝えるという仕事をしている以上、自分が伝える言葉、そして、振る舞い、姿勢、態度、それら全てがより魅力的になっていくことができるよう、同じような志を持ち、同じような悩み・課題を持つ人たちとともに前に進んでいくことができればいいのではないかと思います。

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また、トレーニングコーチ、トレーナーの方は、セミナーを開催しますので、こういったことも踏まえて、色々と意見交換をしましょう!!(セミナーはこちら