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トレーニング指導者は実践者であれ!僕が7回のベンチプレスで学んだ教訓

僕は、ドームアスリートハウス入社時、社内イベントで「ベンチプレス7回」という情けない記録を出し、トレーニング指導者としての信頼が揺らぐ瞬間を経験しました。知識はあっても、自ら実践していなければ選手の気持ちを理解できない。トレーニング指導者は、知識とともに実践者としての姿勢が必要だと、この経験を機に強く感じました。ぜひ、僕自身の経験から、あなた自身のトレーニング指導者としてのフィロソフィに役立てもらえれば嬉しいです。

【1】突きつけられた情けない現実

▲写真:2010年入社当時の多良  (DNS zone(こちら)から転載)

ドームアスリートハウスに入社した時のエピソードです。社内では「ドームコンバイン」という、NFLコンバインにインスパイアされたイベントが行われました。これは、いわゆる体力測定のようなもので、その中に「ベンチプレス」の種目が含まれていました。このベンチプレスは、60kgの重さを規定のフォームで何回挙げられるかを競う、非常にシンプルな内容です。

当時のドーム社では、一般社員にも現役アスリートさながらにトレーニングを続けている方が多く、社内には【屈強な人】たちがたくさんいました。多くの参加者がベンチプレスで20回近い記録を出し、上位の人は30回以上挙げるなど、非常に高いレベルの競技が繰り広げられていました。

そんな中、アスリートのトレーニング指導をしているという肩書きを持つ僕が、どれほどの実力を持っているのか、自然と注目が集まっていました。しかし、僕が叩き出した記録は、【7回】……。たったの7回でした。

その瞬間、周囲からは「えっ?この人がアスリートのトレーニング指導をするの?」という言葉にこそされませんが、そんな空気が漂っているのを強く感じました。本当に情けない思いをしたのを今でも鮮明に覚えています。

当時の僕は大学院を修了したばかりで、【知識偏重】の状態でした。「トレーニングなんてデモで数回できれば問題ない」と軽く考え、実際には自分のトレーニングをほとんど行わず、毎日文献とにらめっこしていました。

実は入社面接の時、ドーム社の安田社長から「お前、その体でトップアスリートのトレーニング指導なんてできるのか?カズコーチ(友岡さん)を見てみろ。誰よりも良い体をして、誰よりも動けるぞ」と厳しく指摘されていたのです。この言葉をこの時改めて痛感し、僕にとってのターニングポイントとなりました。

当時、僕の体重は75kg(写真の時)ほどで、自分自身のトレーニングはほとんどしていませんでした。しかし、この体験を通じて、【トレーニング指導者は実践者でなければならない】ということを強く悟りました。

【2】なぜ、トレーニング指導者として「実践」することが重要なのか?

なぜ、トレーニング指導者として「実践」することが重要なのか?

僕の考えは、【トレーニング指導される相手の立場に立つため】です。

自分が提供するトレーニングプログラムは、自分でも実践してみることで、いわゆる【行間】を読み取る力が養われます。それがなければ、実際に指導する際にアスリートの気持ちや苦労を深く理解することが難しいと感じています。

例えば、ある日の自分のトレーニングを撮影した動画では、チェストプレスを6回(rep)行うのを目標にしていましたが、4回目で潰れてしまいました。残り2回を諦めるという選択肢もありましたが、動画撮影もしていた手前、やるしかありませんでした(笑)。

このようなことは、トレーニングを指導しているアスリートたちにとっても同じだと思います。実際、多くのアスリートが必ずしもトレーニングが好きではありませんが、それが必要だから取り組んでいるのです。僕はアスリートに発破をかけながら、設定した回数やセット数をこなしてもらうことがよくありますが、その時の彼らの気持ちを理解しているかどうかが、適切な声かけやサポートに繋がると思っています。

例えば、僕自身が苦しい場面で「肩がすくんでいるので、フォームに気をつけて」と声をかけられたら、「そんなの分かってるよ!でも、限界でできないんだよ!」と、言いたくなるでしょう。こうした状況でミスコミュニケーションが起これば、アスリートとの信頼関係を築くことは難しいです。

だからこそ、トレーニング指導者も自分自身で実践し、トレーニング時の「温度感」を理解しておくことが、選手との信頼関係を構築するために非常に重要だと考えています。

最後に

今回、ご紹介した過去のエピソードから学んだことは、トレーニング指導者は単に知識を持っているだけでは不十分だということです。

アスリート、それもプロアスリートをトレーニング指導する立場にいる以上、彼らが日々感じている体力的、精神的なプレッシャーや苦労を、自分自身も肌で感じてこそ、本当に適切なアドバイスやサポートができるのだと、僕は考えています。

自分自身、過去の情けない経験から、「実践すること」の重要性を痛感し、その後は自分自身のトレーニングにも積極的に取り組むようになりました。この変化が、プロアスリートとの信頼関係を築き、より深いトレーニング指導ができるようになるための大きな一歩であったと、今を振り返ると感じます。

「トレーニング指導者としての知識だけではなく、実践者としての姿勢を持つことが信頼を得る鍵である」という教訓は、今でも僕のトレーニング指導フィロソフィにおいて、無くてはならない要素の一つです。

 

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