以前のブログで、【脚を速くするにはまずエンジンを大きくしよう】というブログを以前投稿しました。そこでは、脚を速くするためには、エンジン、つまり筋肉をしっかりと大きくしましょう!ということをお伝えしました。また、スピードの決定要素には、【ピッチ×ストライド】が大きく関与していることもお伝えしました。
そこで今回は、その加速局面の局面ごとにどのような能力が求められるのか?ということや、ピッチの高い人の特徴や、ストライドが大きい人の特徴について、簡単にご紹介したいと思います。
ご自身の特徴を踏まえて、今後トレーニングしていただけると、競技パフォーマンスにうまく繋がるかもしれません。ぜひ、興味がある方はご覧いただけると嬉しいです。
おさらい:脚を速くするためにはまずエンジンを大きくしよう!
脚を速くすためには、まずはエンジンである筋肉をしっかりと鍛えましょう!ということを過去のブログでご紹介しました。というのも、「ウェイトトレーニングを行うと体が重くなり、脚が遅くなる」ということを今でも耳にするからです。
このことは半分合ってて、半分間違いな気がします。というのも、ウェイトトレーニングの目的が何によるかで、【ウェイトトレーニングは足を速くもできれば、遅くもできる】からです。(気になる方は過去のブログをご覧ください。)
しかしながら、下記に示すように、筋肉が力を生み出し、そして、力を素早く生み出すことができる、と考えれば、筋肉を鍛えることは、不可欠であると思います。とはいえ、上記したように、脚を速くするという目的にあったトレーニングでなければ、効果は半減してしまうので、その辺りは、アスリートのトレーニング指導の専門家をきちんと頼った方が良いと思います。
スピードの決定要素
過去のブログで、【スピードの決定要素は、ピッチ×ストライド】ということをご紹介しました。今回は追加で、その決定要素が加速局面の局面ごとに、「どのような能力が求められるのか?」ということについてご紹介いたします。
下図は、筑波大学陸上研究室 RIKUPEDIAから引用したものです。(引用先はこちら)
この図からもわかるように、加速初期の一次加速局面(0-30m)では、「ピッチが増加」します。その後、二次加速局面(30-50m)では、「ストライドが増加」し、最大疾走局面で、「最大疾走速度」を高めることが重要になります。
これらのことを踏まえると、球技スポーツの多くが、0-30mの疾走を求められることが多いため、スピードの決定要素としては、「ピッチの増加」が影響することが多いとかと思います。
実際、先のサッカーワールドカップで日本代表のスプリントスピードが速いと思われる選手は、ピッチが高い印象を持ちました。これは競技特性上、30m以下のスプリントを求められることが多いためかもしれません。一方で、日本の対戦相手のドイツのディフェンダーの選手は、身長が高いのも関連しているかもしれませんが、ストライドが大きく見えました。これは、スプリント距離が、30mを越える距離の移動であったからもしれません。(このシーンは色々と憶測がありますが…)
Almanya 1-0 öndeyken bir pozisyonda büyük adımlar attıktan sonra gülen Rüdiger’in maç sonu üzüntüsü. pic.twitter.com/Ly8ATCtprv
— Pusholder Sport (@pusholdersport) November 23, 2022
上記の真相は置いておいて、ピッチとストライドがスピードの決定要素であり、かつ、局面ごとに求められる能力が異なるということをイメージするには良いかなと思います。
ピッチが高い方が良いの? それとも、ストライドが大きい方が良いの?
- ピッチが高い人の特徴
下図は、ウェブサイト:陸上競技の理論と実践~SPRINT & CONDITIONING~ から引用して作図したものになります。
ピッチが高い人は、接地時間が短く、支持距離も短くなる傾向にあり、滞空時間が短くなるとのことです。結果、蹴り出し時に膝が固定され、太腿があまり後に行かない(脚が流れない)、つまり、素早く脚を切り替えることができる=ピッチが高くなる、という傾向があるようです。
このような動作ができるようになるためには、「遊脚の股関節周りで発揮される トルクやパワーの最大値を増大させることが求められる (豊嶋,桜井 2018)」と報告されています。そして、実現のためには、股関節屈曲・伸展筋群の肥大を狙った筋力トレーニングを行うことが有効であるとされています。
具体的には、
・筋肉量や筋力を向上させるような筋力トレーニング (豊嶋,桜井 2018)
・脚を素早く動かすドリル (CIssik2005)
・坂下り走 (小池 2013)
のようなトレーニングが有効であると示されています。
- ストライドが大きい人の特徴
一方で、ストライドが大きい人の特徴としては、接地の瞬間に、膝が身体の下あたりまで来るように使うことができる傾向があります。この動きのためには、後脚を素早いタイミングで前に引き出すことで下へ力を加えることができる必要があります。また、接地の瞬間に膝や足首を伸ばすように使わないことも重要な要素であると考えられています。
このような動作ができるようになるためには、「股関節の屈曲が開始される時に大きな力を発揮し、 早期にパワーを高めることが求められる(豊嶋,桜井 2018)」と報告されています。そして、その動きの実現のためには、足首で大きな力を一瞬で発揮できるようにすることが有効であるとされています。
具体的には、
・ホッピング(アンクルホップ)
・縄跳び
・メディシンボール投げ(アンダースロー) MB 2-3KG (酒井ら,2013)
のようなトレーニングが有効であると示されています。
ここまで記載してきたように、加速局面において、ピッチとストライドがスピードの決定要素であることは理解できたと思います。しかし、ここで生じる疑問は、「結局、どっちが良いの?」ということだと思います。
しかし、この問いに関しては、「どっちでも良い」と答えるほかありません。内藤らは、「個々の特徴(ピッチ型 or ストライド型)でステップタイプは異なり 加速局面の疾走動態が異なる (内藤ほか,2013,体育学研究,58 : 523-538) 」と報告しています。
つまり、選手個々の特性を見極めて、どちらの方が向いているのか?ということを考えながら、トレーニングを行ったり、コーチングを受けたりする必要があると思います。
これだけやればいい!と言われれば、楽なのですが、なかなか、そんなうまくいない!ということを少しでも理解してもらえればと思います。
まとめ
今回は、その加速局面の局面ごとにどのような能力が求められるのか?ということや、ピッチの高い人の特徴や、ストライドが大きい人の特徴について、簡単にご紹介してきました。どちらが良い、という話ではなく、ご自身の特徴を踏まえて、今後トレーニングしていただけると、競技パフォーマンスにうまく繋がると僕は考えています。
この辺りをぜひ踏まえて、ご自身でトレーニングしたり、スプリントやトレーニングの専門家などのコーチングを受けてみては良いのではないかと思います。
・スピードの決定要因は、【ピッチ×ストライド】
・加速初期の一次加速局面(0-30m)では、「ピッチが増加」し、二次加速局面(30-50m)では、「ストライドが増加」し、最大疾走局面で、「最大疾走速度」を高めることが重要
・個々の特徴(ピッチ型 or ストライド型)でステップタイプは異なり 加速局面の疾走動態が異なる
・選手の特徴に応じて、トレーニングする必要性あり
最後に
多くのスポーツにおいて、脚が速い!というのは武器になるなと思います。繰り返しになりますが、先のW杯では日本代表はもちろん、各国の代表には、スプリント能力に長けた選手が数多くいると感じました。
だからこそ、サッカー選手の多くは、スプリントトレーニングの指導を必要としている選手が多いのだと感じます。スプリントの基本に関する知識やスキル、そしてテクニックをしっかりと掴むことができれば、それはそのまま、競技パフォーマンスの向上に繋がるといえるだろうと思います。
ぜひ、ご自身のパフォーマンスアップのためにも、ご自身のスプリントトレーニングを見直してみてはいかがでしょうか??
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