起業して、子どもとの関わり方が変わってきて、以前よりも、”教育”ということについて考える機会が多くなりました。教員養成課程大学を卒業し、一度は、教師という道を目指し、そして、やはり自分がやりたいこととは違うなと思った、”教育”という世界。
しかし、15年以上の月日が経ち、自身の子どもたちの子育てを通じ、そして、これまでの自身のライフワークであったトレーニング指導という経験を経て、”教育”というものの、大切さを改めて感じている今日この頃。今回の記事では、僕がこれからやりたいなと思うことも含めて、”教育”について思うところを記載します。
子どもにスポーツをやらせる必要はない
「うちの子、運動神経悪くって、、、」「運動は人並みにできて欲しい・・・」そんな保護者の想いから、子どもたちに早いうちから、スポーツ教室に通わせている方も多いと思います。中には、将来、自分の子どもをプロアスリートにしたい、オリンピック選手にしたい、と思われている保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そうやって、特定の「スポーツ」を早い段階から取り組ませることには、リスクがあることをご存知でしょうか?
下図に示すように、早期から特定のスポーツに取り組むことで、体力や運動能力に偏りが生じてしまいます。その結果、”ロコモティブシンドローム”や”ケガや障害の発生率が高くなる”と言った弊害が生じてしまいます。(「スポーツ万能」な子どもの育て方 から引用、作図)
これは、実際に、高校生世代で、長年スポーツの指導をされている方が話されていたことですが、「スポーツのスキルは、昔と比べて、間違いなく高くなっているが、怪我がやたらに多い」という事実があるようです。
これは、まさに、上図が示す悪循環による影響であると考えて良いのではないかと思います。
なぜ、こうしたことが起きるのかというと、図にも示しているように、【”体力・運動能力”が低下しているから】なのです。
遊びによって、基礎体力運動能力を向上させる
子どもに運動、そして、スポーツが上手になって欲しいと思うのであれば、やるべきことは、「スポーツスキル」を習得するためのスクールに通わせるのではなく、「基礎体力運動能力」の向上を図るために、子どもと一緒に遊ぶ、ということが非常に重要です。
その背景には、遊びの中には、子どもが身につけておくべき、【36の基礎運動】というものがあり、中でも18の基礎運動を、幼少期にしっかりと身につけておいた方が良いという見解から、現在では、幅広く支持されている考え方となります。
遊びを通じて、こうした基礎運動を培うことはもちろん、遊びを通じて、様々な【運動体験】を取り入れていくことが、スポーツの基礎となる、基礎体力運動能力の向上に繋がるというわけです。
こうした科学的背景はもちろん重要ですが、これは、大人目線。子ども目線において考えれば、ボールの投げ方、蹴り方、走り方など、いわゆるスポーツスキルを、こうしなさい、こうした方が良いよ、なんて言われるよりも、自分が思うままに、石を投げたり、木を振り回したり、鬼ごっこみたいに誰かに追いかけられたり、追いかけたりする方が、断然楽しいのではないでしょうか?
しかし、どうでしょうか?こうした遊びすらも、「これはダメ!」とか「これは危ない!」と制限されてしまったとすれば、”遊び”本来の楽しさや面白さを実感することができず、体を動かして遊ぶよりも、一気に刺激的なものがインストールされるスマホやゲームなどに目がいくのではないでしょうか?
もちろん、スマホやゲームは、体を動かさず、室内で、”安全に”活動することができますが、それによって、体を動かして遊ぶという活動自体の”楽しさ”をインストールされなかった子どもたちは、その後、どうなっていくでしょうか?
その弊害は様々ですが、一つに、学力の低下に繋がることはもちろん、先の見えないVUCAの時代を強く逞しく生き抜く力を育むことすらできなくなると考えられています。
自分の子どもが、時代の波に押しつぶされ、ずっと保護者に依存してしまったり、ずっと自分の世界から飛び出していくことができなくなったら、あなたはどうしますか?
親が子どもと関わる時間を増やすこと
子どもに遊びをさせることが、スポーツの基礎である「基礎体力運動能力の向上」に繋がるから、スポーツスクールではなくて、こうした運動教室に通わせよう!と思われる方もいるかもしれません。
ここからは僕の私見も大いに入りますが、これでは、ただ、方法を取り入れたに過ぎないのではないでしょうか?基礎体力運動能力の上がるプログラムを、子どもに与えただけなのではないでしょうか。
子どもは、保護者との”繋がり”を求めています。だからこそ、保護者が喜ぶ顔をみたいと感じるでしょうし、悲しい顔や怒った顔にさせたくないと思うのだともいます。
これは日本特有の傾向のようなのですが、子どもは保護者の「表情」を感じ、善悪の判断をすることができるそうです。これは大人になっても同じです。「親が知ったら、悲しむかな、喜ぶかな」というのは、大人になっても親に対して持つ感情なはずです。
こうしたことからも、人格形成において、非常に重要な時間である10歳程度までは、できる限り、子どもたちと関わる時間を持つことが、その子どものその後の成長に大いに影響を与えるはずだと思います。
だからこそ、「基礎体力運動能力の向上」のための運動教室に通わせるのではなく、保護者自身がそのことについて学び、そして、自身の子どもに対して、同じことを行えば良いと思うのです。正解である必要はなく、親が子どもの成長を楽しみながら、様々な課題を子どもに与えて、それをクリアしようとした姿勢を評価したり、ちょっと難易度を上げて、子どもを困らせたりしながら、関わっていけば良いのだと思います。
正解や結果・成果を子育てに求めていくのではなく、子育ての原理原則を学び、それに従い、自分なりのやり方を見出して、愛情を持って、子どもと関わっていけば良いのではないと、僕は思っています。
子育て・教育へのリテラシーをあげる
ここまで、子どもの基礎体力運動能力の向上のために、遊びましょう!ということを伝えてきました。遊びという【運動体験】を通じて、スポーツの基礎を学ぶように、子どもたちには、たくさんの体験、経験の機会を与えることが肝心だと僕は考えています。
登山や沢登りなどの野遊びもそう、釣りや農作業による職に関する体験もそう、そういった大人からすると、不便さや面倒さを感じるものを、今一度、子どもたちに体験、経験する機会を創出することこそが、これからの時代のためにも、必要な子どもへの教育だと僕は考えています。
プロアスリートになるエリートを育成することや、IT業界で活躍するエリートを育成することなどが大事なのではなく、それらを引っくるめて、課題を見つけ出し、それをクリアしようとトライする姿勢を持つことができるような人、子どもたちを育成していくことが、必要な教育なのでは?と現時点では考えています。
こうした体験・経験は、子どもの非認知能力、有能感の醸成に繋がっていくと、様々な書籍でも紹介されています。その能力を身につけることが目的ではなく、子ども自身の”人生”を、自分が主役となり、強く逞しく生き抜くことができるように、子育て、躾、教育していくことが保護者や周りの大人が行うべきことなのでは?と考えています。
これらのことは、僕が当事者になったことで、色々と調べていく中、学んでいく中で、知ることができました。そして、「知ること」によって、「自分の頭で深く考える」きっかけとなりました。
こうした機会を、子育てを行っている保護者に向けて発信し、保護者のリテラシーを上げていくことをしていきたいと考えています。そして、共感して頂いた保護者とともに、それぞれの子どもたちに対して、体験、経験、する、できる機会を作っていくことができるようにしたいと思っています。
社会自体が、オンライン、AI化していく中で、今一度、原点回帰し、人と地域の深い繋がり、コミュニケーションを図れるような”場所”づくりを進めていくことで、未来を担う子どもたちのためのより良い環境づくりを行っていくことができればと思っています。
まとめ
今回は、子どもたちの子育て、躾、教育という視点で、僕が今、考えていることを記載しました。ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
・特定の「スポーツ」を早い段階から取り組ませることには、リスクがあること
・スポーツの基礎となる、「基礎体力運動能力」を遊びの中から育んでいくこと
・親が子どもと関わる時間を増やすこと
・保護者の子育て・教育へのリテラシーをあげること
・子どもたちには、様々な体験・経験ができる環境を与えていくこと
最後に
今回のタラコラムは、僕の最近のホットトピックスである”子育て・教育”について記載してきました。そもそも、起業した理由の一つが、自分が生涯を通じて取り組むべき課題に向き合うということではあるので、ようやく、そう言ったことにも目を向けることができるようになってきて、楽しいな!と思う反面、何とかして、共感してくれる人たちを増やしていきたいと思っているところです。
昔、小学校の近くには必ずあった子どもたちのたまり場。文房具屋であったり、駄菓子屋であったり、、、。そう言った場所が、地域から無くなっていくことは、子どもたちの成長には悪影響を与えるように思います。
そういった場所には、子どもを温かくも、厳しく対応する大人が存在していました。良いことは良い、ダメなものはダメ。きちんとそういった社会のルールを、子どもたちに教えてくれていたように思います。大人だけでなく、ちょっと年上のお兄ちゃんやお姉ちゃんからも、社会のルールを学んできたように思います。
そうした場所を、もう一回作りたい。そう考えています。
元気な子どもたちと、元気な年寄り、そして、何をやれば良いかわからない保護者世代が、その場所に一緒に集まり、同じ時間を過ごすことで、また違うケミストリーが生まれるように思っています。いつかではなく、すぐにでも実現したい未来です。
そのためにはクリアしなければいけないことは多々ありますが、同じ志を持つ方や共感してくださる方のサポートを受けながら、着実に前に進んでいこうと思います!
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