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継続の重要性:町田ゼルビア 黒田剛監督の言葉に学ぶ

スポーツ現場やトレーニング指導において、「継続が大事」という言葉はよく耳にします。しかし、それを実現するのは簡単なことではありません。町田ゼルビアの黒田剛監督は、Abema TVの動画でこう語っています。「わかっていても、締めていくのがすごく難しい作業。」

 

この言葉には、「継続の難しさ」はもちろん、それをチーム全体に浸透させていくことの難しさを感じます。今回は、継続の重要性とその難しさ、そしてそれを乗り越えるためのヒントについて考えてみたいと思います。

【1】継続がもたらす力

スポーツ現場やトレーニング指導現場に限らず、どんな分野でも、継続は成功の鍵です。

例えば、プロ野球選手の自主トレ映像からも分かるように、短期間でハードなトレーニングを行っても、大きな効果は得られないと僕は考えています。むしろ、怪我のリスクを高める可能性すらあります。これに対して、シーズンを通じて適切な負荷で継続的にトレーニングを行えば、確実に身体能力は向上し、競技パフォーマンスに良い影響を与えるのはもちろん、怪我のリスクも軽減させると考えています。

この原則は、アスリートだけでなく、私たち一般人にとっても同じです。健康維持やスキル習得、仕事のパフォーマンス向上など、すべては小さな努力の積み重ねが基盤となっています。大きな目標を達成するには、スモールステップを踏むことが重要、というのは成果や結果を残している人の多くが実践していることです。

【2】継続が難しい理由

では、なぜ継続は難しいのでしょうか?

黒田監督の言葉にもあるように、「わかっている」ことと、「実行する」ことの間には大きなギャップがあります。その原因として以下のものが挙げられます。

  1. モチベーションの低下
    初めは高い目標に向かって意欲的に取り組んでも、時間が経つにつれて、だんだんとその意欲が薄れてしまう。
  2. 環境の変化
    忙しさや体調不良、予期せぬ出来事などにより、習慣が崩れやすい。
  3. 目に見える成果が出にくい
    特にトレーニング開始直後は成果を実感しにくく、辛抱強く続けることが難しい。

【3】継続を成功させるためのポイント

それでは、継続していくために、どんな工夫を行えば良いのでしょうか? 以下にいくつか、考えられる方法をご紹介します。

  1. 目標を具体的に設定する
    例えば、「試合に出たい」という漠然とした目標よりも、「○分間のプレータイムを得る」「そのために、週2回、1時間のウエイトトレーニングを必ず行う」など、具体的で、かつ、実行可能な目標を立てる。
  2. 小さな成功を積み重ねる
    大きな目標を因数分解し、その大きな目標を達成するための小さなステップを設け、一つ一つクリアすることでモチベーションを維持する。
  3. サポートを得る
    自分一人で進めるのは、非常に難しいので、同じような目標を持つ仲間や、自分の目標達成のために必要な専門家や指導者のサポートを借り、自分が進みたい方向を明確にし、アクションを起こし続けていく。
  4. ルーティン化する
    モチベーションに左右されずに、継続できるようにするために、スケジュールの中に、自分がやるべきことを盛り込み、時間になったら、必ず実施するということを徹底しいく。

【4】トレーニング指導者としての視点

私たちトレーニング指導者の重要な役割は、継続をサポートすることにあります。特別な知識や斬新なトレーニングメソッドを提供するよりも、基本を整理し、それを徹底して実施する習慣をアスリートやクライアントに定着させることが求められます。

「徹底して相手に実施させる」ことは、黒田監督も指摘されている重要なポイントだと思います。

プロアスリートであれば、基本的なことは過去の経験を通じて何度も言われ続けているため、頭では十分に「わかっている」はずです。しかし、その「わかっている」ことを徹底して実行できていないケースが多いからこそ、あえてその基本を強調し、繰り返し伝え続けることが求められます。

これはアスリートだけでなく、コーチ自身も「さすがに何度も言わなくてもわかっているだろう」と考えてしまいがちで、つい曖昧になりやすい部分でもあります。しかし、優れたコーチと呼ばれる人たちは、誰もが知っているような基本的なことを、さまざまな言葉やアプローチを駆使して伝え続けています。伝えたい本質は変わりませんが、方法を工夫することで、相手の心に自然と響き、胸にスッと入ってくるのだと思います。

だからこそ、コーチとしての役割を果たすためには、言葉を効果的に使う力が必要です。また、一人の人間としてアスリートと真摯に向き合い、継続的にコミュニケーションを取ることも欠かせません。

最終的に成果を出すのはアスリート自身であり、指導者がプレーをするわけではありません。アスリートが自ら考え、行動に移すことで初めて結果が生まれます。そのためには、「どう伝えればアスリートが行動に移すか?」を第一に考え続ける必要があります。この「伝え方」の工夫が、アスリートの継続的な取り組みを支える鍵だと思います。

どんなに簡単なことであっても、正しい方向に向かって努力を継続し続けることができれば、必ず何らかの成果や結果が得られるはずです。そのために、コーチであるトレーニング指導者が正しい方向へ導き、アスリートが努力し続けられる環境を整えることが、最も重要な役割だと考えています。

【5】まとめ: 継続の力を信じて

黒田監督の言葉にある通り、簡単なことでも「継続させる」ことは非常に難しい作業です。しかし、それを諦めずに言い続け、行動に移してもらうことがコーチやトレーニング指導者の役割です。

『わかっている』ことと『実行する』ことは別物です。どんな些細なことでも、行動を積み重ねなければ結果や成果にはつながりません。

相手が行動を継続できるようにするためには、どのような言葉を使い、どのように心を動かすかが重要です。この点は、トレーニング指導者に求められる大切な素養だと考えています。

正しい方向へ導き、正しい努力を積み重ねてもらうために、一人の人間としてアスリートやクライアントと真摯に向き合い続けたいものです。

 

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