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トレーニングコーチ 必見!あなたは、選手に”教えて”いませんか? part.3

コーチのアドバイスは、本来、選手にとっては邪魔なものである”(吉井 理人 著「最高のコーチは教えない」から引用

この書籍に出会うことで、僕は、これまでの自分の経験の蓄積で行っていたコーチングを言語化することができました。その結果、自分自身が試行錯誤しながら進んできたことは、すでに学術的に説明されていることであり、”コーチング”を学問として学ぶことは、すごく意味のあることだと、今更ながら実感しているところです。

そういった経緯もあり、このブログでは、僕の思考を整理整頓しつつ、アウトプットしていくことで、同じように、トレーニングコーチ(トレーナー)として活動している、もしくは活動していこうとしている人たちが、”コーチング”を正しく理解し、それを選手やチームに還元して欲しいなと思いました。興味がある方は、ぜひご覧ください。

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コーチングの一般理論

これまで同様、これからご紹介していく内容は、上記した、吉井さんの著書を読み、そこに記載されている文献を確認し、加えて、自分でも少しリサーチをしたものをまとめたものになります。

ベースになるのは、筑波大学の図子先生の”コーチング論”になります。コーチングに関する学術的な文献は他にも多くあると思いますが、僕自身が、プロアスリートへのトレーニング指導を行う際のコーチングとして、経験的にも、このコーチング論は、有効と感じました。そこで、やや捉え方には偏りがあるかもしれないですが、参考にしていただければ幸いです。

 

1. プロフェッショナルとは?

プロフェッショナルとは?と問われたときに、あなたはどのように答えますか?
この問いで一つのテレビ番組ができるくらい、この問いは、人によって、様々であると思います。

ちなみに、僕が、このテレビ番組で、過去、印象に残っているのが、市川海老蔵さんの答えです。

”方向性を間違えずにきちんと諦めないで努力できる人。今の時代に合っているか、合っていないかをちゃんと見た上で、真っ直ぐに努力できる人がプロフェッショナル”こちら

というものでした。

歌舞伎役者として受け継がれてきた伝統を、時代に合わつつも、きちんとその伝統を伝える表現者としての言葉であると、放送当時感銘を受けた記憶があります。

ちなみに、一般的に、プロフェッショナルとは、以下のような意味で捉えられています。

  ・専門家

  ・専門家として仕事をして、生計の手段として行う人

しかし、上記したように、テレビ番組ができるほど、その捉え方は様々です。

では、ここで取り扱っている、プロフェッショナルコーチ(トレーニングコーチ)として、図子先生が定義しているプロフェッショナルとは何でしょうか?

プロフェッショナルとは、公共的使命倫理的責任を背景に、高度の知識技術を駆使し、自立して仕事を遂行する職業人のこと。【コーチングモデルと体育系大学で行うべき一般コーチング学の内容(図子,2014) から 引用】

 

2. プロフェッショナルコーチとは?

上記の定義を踏まえて、コーチングにおいて、プロフェッショナルとしての行動を実践するためには、多くの知識を持つ博学者では不適であり、知恵者でなくてはならない。と図子は述べています。

知恵者とは、現場で生じる様々な問題に対して、実践的見識実践的思考を駆使し、反省的省察創造的探求相互循環させることのできる人のことを指しています。

つまり、プロフェッショナルコーチとは、スポーツ実践の場で生じる様々な問題を合理的に解決し、選手・チームの未来を創造していく専門家のこと、と定義されているのです。

この定義に基づくと、プロフェッショナルコーチは、コーチングを、ARTとしても、そしてSKILLとしても、探究し、学び、対象である選手・チームの目標達成に向けて、自分の役割をしっかりと果たしていくことが重要であると考えることができます。

つまり、コーチングによって、問題や課題を解決できるように活用していくことが重要であり、コーチングとはこうだ!と決めつけてしまわないことは大切な考え方であると、僕は考えています。

 

3. 指導行動で目標を達成するために

コーチングにおいて必要となる行動指針には、”指導行動”と”育成行動”がある、ということは、以前の投稿で触れました。

競技力やパフォーマンス向上を図りたい!と考えるコーチは、選手・チームの未来を創造的に設計し実現できることが求められます。このような、”創造・設計型のトレーニングサイクル”を実践できるスキルが、指導行動の原動力となります。このサイクルを実行していくことで、トレーニングを効果的に進めることができるのです。

そのサイクルを循環させるために必要なことは、以下のような考え方が必要不可欠となります。

 

そして、トレーニングとは、この一連のサイクルを循環させるための思考・行動のことを指すと、図子先生は述べています。

このことからも指導行動において、その目標達成を実現させていくためには、選手自身はもちろんのこと、コーチングスタッフも、現状把握、課題設定、そして、計画・実行というPDCAサイクルを回していくことが重要なのです。

これは、トレーニング指導に限った話ではなく、日常的な仕事においても同じように重要な思考・行動のサイクルであると思います。そのことを念頭に、コーチングを始め、仕事にも取り組んでいけると良いのではないでしょうか。

 

4. 育成行動で目標を達成するために

コーチングにおいて必要となる行動指針には、もう一つ、”育成行動”について考えてみましょう。

上記したように、ダブルゴールのコーチングを行うためには、”育成行動”が極めて重要になると言われています。(図子,2011) なかでも、「誉める」と「叱る」という行動は、育成行動においては、極めて重要であると言われています。

「誉める」行動は、自信と勇気を促しますが、一方では甘えの増長や自らの思考・判断を停止させる負の効果も持っています。また、「叱る」行動は、反省・努力・改善を促進し、エラー修正に大きく貢献しますが、一方では畏縮やモチベーション減退などの負の効果を持っています。

したがって、コーチング行動としては、「誉める」はアクセル、「叱る」はブレーキの効果を持っていると、図子(2014)は述べています。

例を挙げると、コーチが進んで欲しい方向へと選手・チームが向かっておらず、軌道修正する必要がある場合には、「叱る」行動は効力を発揮します。しかし、その「叱る」行動が、コーチのエネルギー放出(不満の爆発など)のために行われた場合は、コーチング行動としての「叱る」という行動にはなりません。

そういった行動を繰り返していると、選手・チームは強く失望し、自らの心のコントロールが効かなくなり、モチベーション減退などに陥ってしまいます。そこから発展し、体罰による暴力が加わってしまうと、事件、事故へと繋がってしまいます。

そうならないためにも、コーチングにおける育成行動である「叱る」行動を十分に理解し、リスクマネジメントしながら実践していく必要があります。

この育成行動の部分は、コーチングを行う人間にとっては、非常に重要な部分であると、僕自身、考えています。どれだけ優れた知識やスキルを持っていても、相手のことを考えた行動に繋がらなければ、その対象である選手・チームの気持ちを動かすことはできないでしょう。

まとめ

今回、プロフェッショナルとは?という点についてご紹介し、その上で、プロフェッショナルコーチとして目的・目標達成のためにどういう考え方が必要か?ということに関して記載しました。

【1】指導行動においては、PDCAサイクルを回し、目標を達成していくこと。

【2】育成行動においては、「誉める」「叱る」などの行動の意味を理解し、目標達成していくこと。

選手・チームのゴールを明確にし、そのために、どういった行動をとる必要があるのか?ということを、選手・チームにも理解してもらうことはもちろん、コーチングを行うコーチもゴールに向かって、必要な行動を明確にして行っていくことが重要であると思います。

次回は、”コーチングのための行動”とそれに関連する学問”について、ご紹介していこうと思いますので、よろしくお願い致します。

 

最後に

競技スポーツの選手、そしてチームは、自分たちが達成したい目標に向かって、日々努力を積み重ねていきます。その目標が明確であればあるほど、そのための行動も明確で、そして、具体的になると思います。そうすることで、計画しやすく、そして、実行しやすくなるため、結果や成果に繋がりやすいのだと思います。

また、その目標達成のために、どういった姿勢や態度が望ましいのか?ということに関しても、目標が明確であればあるほど、研ぎ澄まされていき、選手やチームが持つべき姿勢や態度が明確になっていくものであると僕は思っています。

そういった意味では、コーチ(トレーニングコーチ)としての選手・チームに、明確な目標を持ってもらうこと、そして、共通理解とすることが極めて重要であると思います。

同じ目的地を目指している!ということが明確であれば、それに向けた行動が伴っているかどうかの効果測定を日々行っていけば良いはずです。しかし、いつの間にか、練習やトレーニングを行うことが目的化してしまったり、良い態度、姿勢でいるということが目的化してしまうと、ゴールを見失ってしまうでしょう。

だからこそ、明確なゴール設定が非常に重要であると思いますし、それらを共通理解していくことがコーチ(トレーニングコーチ)の立場からは非常に重要であると考えています。

あなたは、選手・チームと共通のゴールを目指せていますか??

 

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