S&C(ストレングス&コンディショニング)コーチとして、チーム専属でも個人契約でも、選手の意向を尊重することは極めて重要だと考えています。プロスポーツの世界では、選手生命は限られています。その中で、選手が自身の未来に投資し、リスクを取ることに対してリスペクトを持つことが大切です。今回は、僕自身の経験を基に、チームS&Cコーチと個人S&Cコーチの共存についての見解をお伝えします。
1. 経験から学んだ教訓
約10年前、私はドームアスリートハウス(DAH)で勤務していた際、Jリーグの若手選手たちが先輩選手の影響を受け、3名ほどで入会してきました。彼らは当時、まだA契約に至っておらず、年俸も500万円に満たない状況でした。それでも彼らは、自身の未来に投資し、時間とお金を惜しまず毎週トレーニングに励んでいました。
DAHでは、選手がトレーニングを望む場合、チーム側にその内容を共有するスタンスを取っていました。選手がチームS&Cコーチのプログラムを受けながら、個人トレーニングも追加する形です。しかし、ある日「チームが若手選手の外部トレーニングを禁止した」との連絡がありました。それにより、彼らのトレーニングは中断され、その数年後にはチームを解雇されてしまいました。
この経験から私は、選手の自己決定と自己責任を尊重することの重要性を学びました。選手が自ら選んだ道において最大限のサポートを提供しなければ、彼らのキャリアが損なわれる可能性があるからです。
2.選手の自己責任とS&Cコーチの役割
プロスポーツの世界では、選手が結果を出せなければ解雇されるのが現実です。そのため、選手自身が選んだ道が正解であり、チームS&Cコーチ、個人S&Cコーチの両方がそれを尊重することが不可欠です。
チームS&Cコーチの立場では、選手のニーズに応える努力をし、個人S&Cコーチと友好的な関係を築くことが大切です。一方、個人S&Cコーチは、選手の意向をチームS&Cコーチに共有し、相互理解を基に協力する姿勢が求められます。選手が困る状況を避けるため、両者の関係は選手の利益を第一に考えたものであるべきです。
チームS&Cコーチとしての対応
チームS&Cコーチの立場としては、選手との十分なコミュニケーションが鍵です。選手が個人S&Cコーチを雇う理由は、チームトレーニングではカバーできないニーズがあるからです。そのため、チームもその点を理解し、個人S&Cコーチとの役割分担を図ることも時には必要になります。
選手がチームS&Cコーチのプログラムに不満を抱いている場合も、その意見を尊重し、個人S&Cコーチとの連携を柔軟に行うことが重要です。選手を囲い込もうとすると、関係が悪化し、最も困るのは選手自身となります。コンディションの管理においても、個人S&Cコーチと協力し、オーバーワークを防ぐための適切な対応が求められます。
個人S&Cコーチとしての対応
個人S&Cコーチとしては、チームの状況を理解し、選手を通じてチームS&Cコーチにトレーニング内容を共有してもらうことが大切です。チームが選手に給料を支払っていることを踏まえ、科学的知見に基づいた安全なトレーニングを提供することで、チームに迷惑をかけないよう配慮することが必要です。
また、選手がチームに情報を共有したくない場合もあります。そのような時には、個人S&Cとしては選手の意向を尊重しながらも、怪我を防ぎつつ、最適なサポートを提供する責任があります。
3.批判よりも協力する姿勢
いずれの立場においても、他のS&Cコーチを批判するのではなく、協力を優先すべきです。たとえ自分のやり方に自信があっても、選手が信頼している他のS&Cコーチを無闇に否定することは避けるべきです。代わりに、選手や相手のS&Cコーチにトレーニングの目的などを尋ねたり、実際にその方法を試すことで、理解を深める努力をすることも一つでしょう。
僕は現在、個人S&Cコーチとして活動していますが、チームS&Cコーチとの友好的な関係を築いた結果、チームトレーニング時に僕のプログラムが採用されることもあります。これは、僕自身がチームS&Cコーチをリスペクトし、協力的な姿勢を持っているからこそ実現できたことであると考えています。
まとめ
選手の未来をサポートするためには、チームS&Cコーチと個人S&Cコーチが互いにリスペクトし合い、協力することが不可欠です。選手の意向を第一に考え、柔軟な対応を心がけることで、選手の成長とパフォーマンス向上を支えることができます。僕たちS&Cコーチは常に成長を続け、選手のパフォーマンスアップのために共に歩むことが大切だと考えています。
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