「わかってはいるけど、行動に移せない」――若手トレーニング指導者に多い悩みです。
スポーツ現場では、迷いが命取りになる場面があります。知識や理論がどれだけ豊富でも、動けなければ意味がありません。では、行動できる人とできない人を分けるものは何でしょうか?
行動できない人に共通する理由とは?
「なぜ、行動できないのか?」
この問いに明確に答えられる若いトレーニング指導者は多くありません。実際には、年齢は関係なく、多くの人は「自分がなぜ行動できないのか」を理解できていないものです。
しかし、スポーツ現場で活動する私たちにとって、行動が遅れることは命取りになります。
極端な例を挙げれば、試合中に選手が倒れ、心肺停止に陥ったとき。
もし私たちが迷っている間に、選手の命は失われてしまうかもしれません。
その場で迷わずCPRを実施し、AEDを準備し、必要な処置を迅速に行えるのは「勇気がある」からではありません。日頃から手順を想定し、身体にインストールしているからこそ、即座に動けるのです。
つまり、行動の速さは「具体的な準備」と「習慣」の賜物なのです。
そして、そのために必要なことは実にシンプルです。
「具体的にすること」と「明確にすること」だと、僕は考えています。
行動できないのは「具体性がない」から
なぜ人は行動できないのでしょうか?
その理由はシンプルです──「何をどうすればいいか」が具体的に描けていないからです。
「あとでやればいいか」
「誰かがやってくれるだろう」
「大したことじゃないから気にしなくていいか」
こうした曖昧な感情に流されてしまうと、行動は極端に遅くなります。その結果、周囲に迷惑をかけたり、信頼を失ったりすることにもつながります。
大切なのは、行動を「手順」と「時間」にまで落とし込むことです。
「何を・どれだけ・いつやるのか」が明確になれば、迷いなく行動でき、自分の時間を味方につけることができます。
行動が具体化されることで、仕事の質や成果は飛躍的に高まります。
ぜひ一度、自分の毎日の行動を整理し、具体的に描いてみてください。
目標を明確にする
次に重要なのは、目標設定です。
「もっと成長したい」「仕事を速くこなしたい」と漠然と思うだけでは、行動に落とし込むことはできません。
成長を加速させるには、具体的で測定可能な目標を掲げる必要があります。(SMARTの法則)
例えば、
- 「練習開始からウォームアップをスムーズに導入できるまでの時間を3分以内に収める」
- 「一回のセッションで、選手一人ひとりに最低2回はポジティブなフィードバックを伝える」
- 「3週間以内に、基本種目(スクワット・デッドリフト・ベンチプレス)の動作を見て、主要な改善ポイントを即座に1つ指摘できるようにする」
このように目標を明確にすると、日々のToDoが「何のためにやるのか」と直結し、迷わず行動できます。
そして、明確な目標があるからこそ、時間を浪費せず、集中して質の高い行動を積み重ねられるのです。
SMARTの法則:目標達成の精度を高めるために用いるフレームワーク
Specific :「具体的、分かりやすい」
Measurable :「測定可能、客観的な指標(数字)になっている」
Achievable :「現実的で、達成可能」
Relevant :「個人やチームの目的や戦略と関連している」
Time-bound:「期限が明確、いつまでにやるのか」
5つの要素の頭文字をとったものを、SMARTの法則といいます。
行動を書き出す
さらにおすすめなのは、1日のスケジュールに「具体的な行動」を書き出すことです。
業務(練習サポート・トレーニングサポートなど)と、自己研鑽のためのための準備の時間や息抜きの時間など、自分の1日24時間を全て目に見える形で整理することで、自分が何に時間を使っているかが明確になり、余計な焦りや迷いを減らすことができます。
例えば、
トレーニング指導者の1日スケジュール例

といった形でスケジュールを書き出すだけで、行動が「ただこなすだけ」から「意図をもった質の高い行動」へと変わります。
ここで大切なのは、「小さな積み重ねが大きな差を生む」ということです。
1回の行動で劇的に何かが変わることはありません。しかし、毎日の行動を具体的に、そして、明確に、積み重ねることで、確実に成長のスピードは上がります。焦りや不安を抱えながら過ごすよりも、目標と行動が明確な状態で取り組むほうが、結果は圧倒的に変わります。
さらに、細かなことで言えば、1日数分で、できることを継続してみる、ということも長い目で見ると効果的なことも多いです。
例えば、
- 毎日5分、選手の動きの変化をノートに記録する
→ 数週間後には「誰がどんな時に疲労が溜まりやすいか」が把握でき、より的確なサポートが可能になる。 - 1日1つ、新しい知識をインプットする
→ 半年後には50以上の新しいアイデアが引き出しに加わり、選手への提案力が高まる。 - 夜に5分、その日の振り返りと翌日のToDoを整理する
→ 翌朝の迷いがなくなり、行動がスムーズに始められる。
こうした小さな行動の積み重ねは、短期的には目に見えにくいかもしれません。ですが、半年後、1年後には、成果や信頼の差となって大きく表れるのです。
まとめ
ここまでを踏まえて、今日から意識してほしいことはたった2つです。
- 具体的に行動する
→ 「何を・どれだけ・いつやるか」を明確にする。 - 目標を明確にする
→ 漠然とではなく、現実的で測定可能で、達成感を得られる形に落とし込む。
小さな一歩でも「具体的に」「明確に」行動を始めること。これが、あなた自身のパフォーマンスを大きく変える第一歩です。
最後に
僕が一番伝えたいことは、シンプルにこれです。
「素早く行動しろ!」
スポーツ現場で即座に動けるのは、勇気や度胸ではありません。
日々の中で「具体的」「明確」に準備し、行動を整理しているからこそ、瞬時に動けるのです。逆に言えば、動けないのはその準備ができていない、あるいは意識していないからです。
だからこそ、自分の行動を整理し、できれば数値化し、客観的に捉える努力をしてください。
行動の速さは、信用そのものです。
信用を失えば、この業界で生き残ることはできません。逆に、素早く正確に行動できる人は、必ず信頼され、仕事の依頼も集まってきます。
「自分がどんな人に仕事を依頼したいか?」
この問いを常に心に置き、日々の行動を積み重ねていってください。
未来を変えるのは、今日の小さな一歩です。
まずは今この瞬間から、具体的で明確な行動を1つ、始めてみましょう。
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