ひたすら続く3,333段の石段。1歳9ヶ月の息子を抱えて登頂——。あれから4年。家族全員で再びあの石段に挑戦してきました。
先日、熊本県下益城郡美里町にある「日本一の石段(釈迦院御坂遊歩道)」に挑戦してきました。前回、2021年1月に登頂して以来、今回が2回目(前回の記事は、こちら)。今回の登頂では、前回とはまた違った気づきや学びがあったので、記録として記事に残しておこうと思います。
前回の登頂で感じた3つのこと
前回の登頂では、以下の3つのことを強く感じました。
- 子どもたちの心身の成長
- 疲労の感じ方の違い
- 登山中の挨拶を通じた人とのつながり
はじめての登頂という体験を通じて、家族の絆が深まり、普段の生活では味わえない心身の充実感や、道中で交わす自然なコミュニケーションから、人とのつながりの大切さを実感することができました。
今回もそのような感覚はありましたが、当時はあまり意識していなかった新たな気づきもあり、時間の流れや、自分自身の変化を改めて感じる機会となりました。
今回の登頂で感じた3つのこと
今回の登頂では、次の3つを強く感じました。
- 子どもたちの確かな成長
- 小さな目標を設定することの大切さ
- やっぱり、僕は自然が好き
1回目のチャレンジのときと同様に、今回も完全に夫婦の“思いつき”からスタートした計画でした。1週間ほど前に「そろそろ3,333段でも登りに行く?」という何気ない夫婦の会話から始まり、週末の天気が何とか持ちそうだったので、前日に夫婦で決行を決定。子どもたちには当日の朝に伝えるという、まさにトップダウン型の意思決定で2回目のチャレンジが始まりました。
2回目ということもあり、体力的なきつさはある程度想定できていたので、前回よりも気持ちに余裕を持ってポジティブに臨むことができました。そのおかげで、前回とは違った視点からの気づきや学びが得られる機会となりました。
【1】こどもたちの確かな成長
前回は、子どもたちはそれぞれ、長女:5歳、次女:4歳、長男:1歳9ヶ月でした。長女だけが完走し、次女は復路の途中まで、長男は300段ほど登ったところで終了という結果でした。あれから4年が経ち、子どもたちは9歳、8歳、6歳に成長。そして今回は、なんと3人全員が見事に完走しました。
正直、当日の朝に突然「今日は3,333段の石段に登るよ」と告げられたとき、子どもたちが乗り気でなかったのは明らかです(苦笑)。実際、3人とも「えー、やだー」と即座に声を揃えました。でも、彼らもこの4年で「この親は一度言い出したら引かない」ということを理解しているのでしょう。文句を言いながらもすぐに支度を始め、気持ちを切り替えてくれました。
スタート地点でもポジティブな姿勢を保ち、登り始めることができましたが、1,000段あたりまでは、次女と長男のネガティブ発言が止まりません。「足が痛い」「もう無理」など、弱音のオンパレードでした。そこは職業柄、あれこれ言葉を変えながら励まし続け、なんとか1,000段を突破。その頃には身体が負荷に慣れてきたのか、ペースも安定し、最終的には余力を残して無事にゴールまで登りきることができました。
ちなみに前回は、体力的にも難しく、石段を登った先の釈迦院まではたどり着けませんでした。しかし今回は、登頂後にさらに1,000m歩いて釈迦院までしっかりと到達し、鐘も鳴らしてきました(笑)この3,333段の石段は、もともと釈迦院への参道としてつくられたものなので、本来は釈迦院まで行くのが“登頂完了”なんです。でも、登りきった直後にさらに1km歩くのは、体力的にもメンタル的にもなかなか厳しい。そんななか、3人とも最後まで歩き切った姿に、子どもたちの心と身体の確かな成長を感じることができました。
【2】小さな目標を設定することの大切さ
今回のチャレンジで、僕がもっとも強く感じたことは、「小さな目標を設定することの大切さ」でした。それは、次女と長男を励ましながら登っているときに、ふと気づいたことでした。彼らをモチベートする際に、とても役に立ったのが、石段に刻まれた「100段ごとの表記」でした。子どもたちは、前回登った記憶など、ほとんど覚えていません。だから僕とは違い、「どこがゴールで、どのくらいの距離が残っているのか?」という全体像を思い描くことができないまま登っているわけです。
そんな中、ひたすら登り続けるというのは、言い換えれば、目標が見えないまま、前に進むことと同じです。それでは、体力も気力もなかなか持ちません。でも、100段ごとの目印があることで、「次の100段まで頑張ってみよう」「あともう少し、次の表示まで行ってみよう」といった声かけができ、それが子どもたちの気持ちと体を前へ進ませる目安となったのだと思います。
そして、この気づきは、僕自身が日々行っているアスリートのコーチングや、THE BASEスクールでのトレーニング指導者の育成においても、まったく同じだと改めて感じました。人は、大きすぎる目標や、具体的にイメージできない未来に向かって、ひたすら努力を続けることは難しいものです。だからこそ、小さな目標を段階的に設定し、目の前の「これならできそう」という行動を示してあげること。それによって人は、自信を積み重ねながら、前に進むことができます。
さらに重要なのは、「一定のペースを保つこと」です。登山でもマラソンでも、ゴールにたどり着くためには、序盤から飛ばしすぎれば途中でバテてしまうし、逆にゆっくりすぎれば目標時間内にゴールできません。つまり、オーバーペースにもならず、ペースダウンしすぎることもなく、自分に合ったペースで淡々と前に進み続けること。要は、“立ち止まらない”ということが、目標達成において非常に大事なのです。
だからこそ、僕の役割は、クライアントアスリートにも、スクール生にも、その人に合ったペースを見極め、適切なタイミングで小さな目標を提示し、一定のペースで行動を続けられるようにサポートすること。今回の経験を通じて、改めてその重要性に気づくことができました。
【3】やっぱり、僕は自然が好き
最後に感じたのは、やっぱり「僕は自然が好きだ」ということです。
今回の登頂や登山のような体験では、一歩一歩前に進むたびに景色が変わります。そして、4年前の自分とは違う感想を抱いたように、そのときの自分の状態によって、感じることも見える景色もまったく変わってくるのだと、改めて気づかされました。
山でも海でも川でも、自然の中に入り、安全を確保したうえで思いきり遊ぶというのは、本当に楽しいことです。そして、自然の中で身体にある程度の負荷をかけることは、人間にとってやはり必要なんだとも感じました。普段はウエイトトレーニングをしていますが、スポーツをする機会は減っている僕にとって、登山は自分のペースでできる、気軽で続けやすい趣味なのかもしれません。実際、今はそう感じています。
この夏には、子どもたちと一緒に地元・雲仙の普賢岳に登ろうと話しています。来年、長男が小学生になったら、夫婦で「富士山にも登ってみたいね」と話しているところです。子どもたちが、親の都合に付き合ってくれるのは、きっとあと数年。だからこそ、今はトップダウンで(笑)、とことん付き合ってもらおうと思っています。親子の思い出は、たくさんあった方が、年を重ねたときの“語りネタ”になりますからね。いつか僕が還暦を迎える頃、「ほんと、無理やり連れて行かれてたよね?」と、子どもたちが笑いながら文句を言ってくれるのを、今から楽しみにしています。
おわりに
こうして2回目の「日本一の石段」チャレンジを無事に終え、僕たち家族にとって、またひとつ大切な思い出が増えました。4年前と比べて、子どもたちの体力がついたこともありますが、気持ちの面での成長がとても印象的でした。
そして、登山に限らず、日常の中でも、目の前のことに一歩ずつ取り組んでいく大切さを、改めて実感できた今回のチャレンジ。これからも、日々の暮らしや仕事の中で、小さな「前進」を積み重ねていきたいと思います。
そして、記事に記載した通り、僕はこれからも、クライアントアスリートにも、スクール生にも、その人に合ったペースを見極め、適切なタイミングで小さな目標を提示し、一定のペースで行動を続けられるようにサポートしていきたいと思います!!
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